親友

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「クレイ!」 突然背後から声をかけられ、全身が飛び上がった。 音の刺激に驚いたが、その声はとても聞きなれたもので、僕の心に暖かいものが満たされた。 「びっくりさせないでよ、ジン」 後ろを振り替えると、身長が僕より頭ひとつ高い、がたいのいい男が大きく手を振りながら、こちらに歩いてきた。 「ここにいるってことは合格したんだな!さすが、俺は来ると思ってたぜ」 ジンは僕の目の前まで来ると、そう言って、ニコニコ笑いながら僕の頭に手を伸ばしてきた。 ジンは僕と会うたびに頭を撫でるんだよな、なんて考えながら、頭を撫でられた。 「ホントにそう思ってる?僕の覚えてる限り、笑いながらやめとけって言ってなかった?」 「そんなことも言ったかもしれない。が、それはお前の気持ちを煽ってたんだ」 僕が下から睨み付けて、そんな恨み言をいうと、ジンは一瞬固まった。一瞬のあと、頭を撫でていた手を離し、頬を掻いて困ったような笑みを浮かべながらそういった。 ジンは、僕より2つ年上だ。同じ孤児院で育った親友だと思ってる。僕が試験を受けるより3年早くレイブンになって、レイブンとして稼いだ報酬で、孤児院の家計をささえているんだったな。孤児院にとって、ある意味、大黒柱みたいな存在だったんだとおもう。 そういえば、ジンはそもそもどうしてレイブンになろうと思ったんだろう。僕は、ジンがレイブンとして孤児院を支えているのをすごいなって思ったから、一緒にレイブンになれば、ジンと二人で孤児院を守っていけるんじゃないかなって、そんな理由だったんだけど。 「クレイ?どうした?そんなに黙って見つめるなよ。機嫌悪くしたなら謝るから」 「え?あ、怒ってないよ!ちょっとジンが懐かしくて、ぼーっとしてた」 あぶないあぶない、考え込んでた。 ジンは心配そうな顔でこちらを見下ろしていたが、僕の反応を見て、ほっとした表情を浮かべた。
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