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アリーナ
シャー…
僕は、ジンと久しぶりの再開を果たしたあと、自室に荷物を運び込み、荷ほどきもしないまま、ボディソープとシャンプー、タオルだけ取り出して、シャワーを浴びていた。
レイブン試験の緊張で全身汗だらけだし、なにより、暖かいシャワーを浴びてリラックスしたかった。
シャー…
ふぅ…
シャワーを首あたりに当てて流しながら、疲れの籠ったため息をついた。
ガレージに併設された居住施設だと聞いていたので、汚い場所かもしれないと覚悟してたけど、案外綺麗だったな。
壁紙がちょっと剥がれてたりしてたけど、そこそこ広いし、汚れたりしてないし。
もっと機械油とか、ほこりとかすごいのかなって思ってたよ。
髪の毛もベタベタだし洗おうかな。うーん、髪の毛長くなったかな。縛ったほうが邪魔じゃないかも。
キュッ
シャワーはこのくらいでいいかな。やっぱりシャワーは気持ちいい。無人島に持ってくならシャワーがいいってくらい。
僕はシャワーを止めて、浴室を出た。
浴室の外に置いておいた下着を履いて、Tシャツをきて、とりあえずシャワーで火照ったし、服はこのくらいでいいかな。
ガチャっ
「クレイー!今日の試験合格祝いに飯をおごってや…!」
「あれ、ジン。え?ご飯おごってくれるの?」
ジンは僕が来たことが相当嬉しいみたいだな。そうやって喜んでくれると親友冥利につきってもんだね。
「って、どうしたの?なんで固まってるの?」
「…わ、わるい。クレイ、俺またあとで出直す。具体的には服をちゃんと着るころに出直す…」
僕をみつめて固まっていたクレイは、顔を左に背けて、左手で目の前を覆うようにしてそういった。
後退りながら後ろ手にドアを探してるみたいだけど、そっち、僕の荷物があってあぶないよ?
「のわっ!?」
ガターン!
ジンが僕の荷物につまづいてこけた。まったくバカだなぁ!ちゃんと前見て歩かないと。しょうがないから起こしてあげるか。
起こしてあげようと歩み寄ったら、しりもちをついたまま、ジンは騒ぎだした。
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