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これから生活するこの施設は、ネストから支給されたガレージ兼居住施設だ。
ネストは、レイブンへの仕事の斡旋やレイブン同士が戦うアリーナの運営といった役割が大きい。
その一貫で、新人のレイブンに対してガレージが支給される。
支給されるガレージは必要最低限の設備は揃っていて、機体の整備や生活をしていく分には問題ないけど、キャリアを積んでくると物足りなくなるらしい。
大体のレイブンは、資金をためて、自分のガレージを購入するそうだ。
という話を、ジンから教えてもらった。
「あれ?でも、ガレージって一人に一つじゃないの?」
「いいところに気がついたな。」
ガレージからつながる地下道を車で走りながら、運転しているジンに質問を投げかけた。
「あのガレージは増築したんだ」
「そうなの?」
「そう、院長が増築してくれた」
「すごいね、院長」
そうか、院長か。それならちょっと納得するかも。
孤児院を経営しているサラさんより、立場が上の院長。僕は顔を見たこともないし、話したこともないけど、僕やジンがレイブンとして孤児院を支える後押しをしてくれた存在。
ガレージの増築なんて、相当なお金がかかるはずなのに…
孤児院って実はお金持ちだったのかな…?
「俺が理由を聞いたときは、先行投資だって言ってたな」
「そうなんだ。先行投資なら、他の使い方もありそうだけど」
「まぁ、いいだろ!俺たちがやりたいと思ったことを後押ししてくれたんだ。感謝しなきゃな」
「ふふ、そうだね」
院長のおかげでジンと一緒に暮らしていけるって考えたら、感謝の気持ちしか沸かない。ありがとう、院長。絶対に倍にして返すからね。顔見たことないけど。
そんな話をしているうちに地下街についた。
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