3:買い物

12/22
前へ
/53ページ
次へ
「ひゃわっ!」 無理矢理立たされ、あたしのかばんを持つと、翔くんは歩き出した。 「えっ翔!?」 「翔くん?!」 あずみや、爽くんに答えることなく、翔くんはお店を出た。 スタスタと歩くモール内。 どこに行くのかな? 「いちごさぁ、怒らないんだな」 「ぇ、なんで?」 後ろを見ないで歩き続ける翔くんの背中に問い掛ける。 「だって、勝手に連れてきちまったし?」 確かに、無理矢理の部分はあった。 不満もある。でも、あの痛みは今は無い。 という事は、あたしも完全には嫌がっていない。 「別に平気だよ。」 男嫌いのあたしから、こんな言葉、出るんだな。 「じゃあ、遊ぶかっ!また勉強だし」 翔くんは、そういうと歩く速さを速めた。 着いた先は、先程来たゲームセンター。 その中に、あたし達は手を繋いで入っていく。 ん? …手を………繋いで? あたしは、自分の手を見て、絶句した。 あたしの手……翔くんに握られてる!!!??? なんでなんで?! 「…あの、翔くん」 「ん?」 優しい声で振り向き、言葉を詰まらせるあたしを不思議そうに見る。 「…あの………手///」 そこまで言って、顔を伏せた。 だって恥ずかしいんだもん/// 「手?………あぁ。繋いでるってか?良くね?迷子にならなくて」 そう言うと、更に強く握り、ゲームセンターの奥に入って行った。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加