3:買い物

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いちごが黙り込んでいるのを、翔は見下げる。 何故自分がこんなにもいちごを連れ回しているのかも分からず。 すると、急に顔を上げたいちごと目が合った。 その目は、何か物欲しそうな子猫のような目。 無防備にも程がある。 だが、そんな事を言ったら、男に免疫がないいちごは、俺に警戒心を持つだろう。 だから言わない。 だが、あまりにもジッと見詰め過ぎだ。 「どうした?」 俺は、そっと目線をいちごに合わせる。 俺とコイツでは、身長差が20cm以上ある。 首も疲れるだろう。 「あの…お願いがある……んだけど…」 前に出した手を弄りながら、子猫のようにねだってくる。 最近、俺はコイツに振り回されっぱなしだ。 だけど、やっぱり断る事なんて出来なくて。 「いいよ、何?」 その言葉を聞くと、嬉しそうな顔をするいちご。 その時、調度エレベーターの扉が開く。 「翔くん行こう!」 いちごは、俺の袖をちょこっとだけ摘み、エレベーターの外へ出た。 この階は、レディースの服やら小物やらが沢山ある。 もしかして、何か欲しいのか? でも、いちごは男に金を使わせそうにないのだが。 不思議に思いながら歩っていると、何ともいちごが好きそうな、洋服のブランドの店に入った。 「実は、結衣ちゃんが旅行に行くんだって!」 旅行? それと、これ、なんの関係があるんだ? そう思っていると、すかさず説明を入れるいちご。 どいやら、友達のために服を選ぶから、男的に好感を持てるか見てほしいらしい。 ったく。 俺は、いちごの選ぶ服を1つ1つ評価を始めた。
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