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「急に実家に連れていったりしないよ?」
「へっ?…いやっ、あの…」
私の緊張を言い当てたぴーすけに面喰らいながら私は両手をバタバタと振る。
「いつかは来てもらうけど、今日のところは、ね。
これから行くのは水戸じゃなくて隣町」
―――いつかは来てもらう
その一言に心臓が大きく跳ね上がったけど、私は気付かないフリをして
「隣町?」
「そ。俺の地元で一番よく行った場所。
俺にとって大事な場所でウメとゆっくり話したいと思ってさ。
昨日の続きとか、
…春花のこと、とか」
春花のこと、とか…。
その名前には、何て返したらいいのか分からず
「うん…」
とだけ頷いて、私は車窓からの景色に目を向けた。
ぴーすけの大事な場所。
何となく、行き先が見えてきたような気がした。
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