21・告白

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さらに進んで、信号待ちで停止したすぐ脇の料亭の店先には、グロテスクな黒い魚が吊られていた。 「あれって…」 「アンコウ。食べたことある?」 目を丸くしたまま首を振る私にぴーすけが教えてくれた。 「アンコウってボヨンボヨンしてるからああやって吊るして、水をたくさんお腹に入れて脹らませてから捌くんだ。 見た目はあんなだけど、高級魚だからね? 味は美味いよ。 今度、美味しいアンコウ鍋食べさせてあげる」 「うん…。 でも、かわいそうだね。 あの姿…」 ぴーすけはアンコウから目を離せない私に優しく微笑みながら、頭をポンポンと叩いてくれた。 そして、さらに少し走った海に面した駐車場に車は停まった。
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