21・告白

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「海、初めてじゃないよね?」 かなり長い間、黙って海を眺め続ける私にぴーすけが笑いながら言った。 「……いくら海無し県育ちだからって、そんなわけないでしょ。 他の海なら行ったことあるわよ。 湘南とか九十九里とか…グアムとか? ここは来たことないし、冬の海も初めてだけどね」 「全然違うだろ?」 ぴーすけが海に顔を向けたまま言う。 「うん。 こんなに広くて、大きいって感じたの初めて。 何か怖いみたい」 「確かに怖いよ。 人なんか簡単に飲み込んじゃうしね」 ぴーすけが私のところまで戻ってきながら言った。 「清雲さんが亡くなったのって、ここなの?」 「ううん。もう少しあっちの海水浴場」 「そっか…」 ぴーすけが指差した方を見ながら私は手を合わせた。 「あいつが死んでから、海なんて来る気にならないだろうと思ったけど、何かある度に見たくなるのは必ず海なんだよな」 「うん…」 分かるような気がした。 この広くて大きな自然は、どんな悲しみも悩みも受け止めてくれそうだ。 「なあ、ウメ」 また、しばらく2人で海を見つめ続けていたが、ぴーすけがふいに口を開いた。 「この海を見ても、まだ俺が海みたいだって思えるか?」
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