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「思えるよ」
海を見たまま答えた。
「ホントに?」
「うん」
「シンタから大学の頃のこと、全部聞いたんだろ?
それでも?」
「うん。私の中のぴーすけは変わらないままだよ。
そのまんま」
「…そのまんま、か」
「うん」
ぴーすけは、ダウンのポケットからタバコを取り出し一本くわえると火をつけた。
ゆっくりと煙を吐き出すぴーすけを見つめる。
私は、この瞬間がとても好きだった。
ぴーすけの横顔と煙草を持つ手、そして流れていく煙を見ている時間が一番幸せだった。
その気持ちが今も変わっていないことを心の中で確認する。
そう、私の中のぴーすけは何一つ変わってはいない。
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