暗雲

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その部屋の暗がりから、 黒い人陰、闇の者が現れた。 それは、 音もなく老人に近づき、 刃を黒色に染めた短刀を抜き、 喉元に狙いを定めた。 その事から、アサシン、暗殺を生業としている者だとわかる。 はじめに喉を潰せば、助けを呼ばれる心配もなく、 呼吸困難で弱った所を確実に、 止めを刺せるからである。 尋常ならざる速度でアサシンは動いた。 切っ先が、老人の喉に突き刺さろうとした瞬間、 老人が身につけていた、輝石の複数はまったメダルが、 怒り狂ったかの様に紫の稲妻で、アサシンを突き飛ばした。 さすがに、その爆音で、老人も目を覚まし、 また、 扉の外の衛兵も気が付き、 部屋の中に飛び込んだ。 「陛下! 御無事ですかぁ!!」 老人は、 現イストニア国王マーラーであった。 「うむ、」 アサシンは、先ほどの稲妻で身体が痺れ、倒れていたが、 突然、 飛び起き、 勢いよく窓から身を投げた。
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