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『お父さん、お母さん!朝だよ!』
日曜日の朝の始まり。
父と母がいる寝室をノックし、ドアノブを回した。
目に飛び込んできたのは、お風呂に入るとき以外はまず見ることの無い両親の、全裸でベッドに横たわり抱き合った姿…。
『?何してるのぉ~?』
何気に尋ねる幼い私。
母の後ろから手を回し、乳房を愛撫しだした父がこう言った。
『陽、妹が欲しいって言ってたよね?』
確かに、兄弟が欲しいって言ったけど、どうしてお父さん達、裸なの?どうしてお父さん、お母さんのおっぱい触ってるの?
なんだか、キモチワルイ…。
更に父は、母の乳首をつまみ、指先に力を込めた。
すると乳首の先端から、なにやら乳白色でまぁるい小さな液体が出てきた。
『陽、ちょっと舐めてごらん。おっぱいだよ。陽もこれを飲んで大きくなったんだ。』
もう乳離れし、母の乳への興味も薄れていた。
それ以上に、父の姿、仕草にイヤな違和感がありその場を早く離れたかった。
『いらない。』
『え~、そうなの?じゃあ、お父さんが飲んじゃお…』
母の乳首に顔を近づけ、吸い付く父。
お父さん、なんだかキモチワルイ…。
後ずさり、部屋を出た。
大人の体になり、恋をし、異性を知り、当時両親がしていた事が何だったのかは理解したが、
私自身が母になり、親になった今、あの父の言動が理解できないでいるのも…確かだ。
まぁ、いずれにせよ、あの時、妹は命を授かり、次の年には生を受けた。
その半年後には、両親が離婚し、私達姉妹は父に育てられる事になるのだが、
それまでの幸せとは比べようもない不幸な出来事の数々。
今また幸せを掴みつつある現状だからこそ、冷静に振り返る事が出来るのだが、
全ては、この出来事と、そして私が兄弟を望んだから始まった事なのかもしれないと、
思うようになった。
…そう、妹の存在をも無視して。
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