闇の住む眼

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おじさんは私を見るなり鬼のような形相で私を怒鳴った。 「なんてことをするんだ!!!」 当然だ、なにで私は馬車に乗ってしまったのだ。こういう時はおとなしく殴られるのが一番だと体が覚えている。 目をつぶって俯き全身に力を入れた。 (何発で済むのかな?どれくらい痛いのかな?) 私はそんなことを考えていると体中にあたたかい、優しいぬくもりが伝わってきた。 おじさんは優しく私を抱いたままじっとしていた 「・・・?」 「なんであんなに危ないことをしたんだ・・・。もっとスピードが出ていれば命に別状があったかもしれないのに・・・」 私が意味が分からきょとんとしているとおじさんは絞り出すような声で言った。 私はとても困ってしまった。 だって・・・、だって体の心配をされたことなんて今まで一度もなかったからだ。 「ば・・・馬車にのった・・・から。怒られるとおもって」 私がか細い声でそういう。 「なっ・・・・、そうか・・・。大丈夫、大丈夫だから・・・さぁ、馬車にお乗り」 おじさんは一瞬私を抱く力を弱めた後また強く抱いてくれた。 体中が痛かったけど…不思議とその痛みは嫌じゃなかったのを今でも覚えている・・・。
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