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ここは魔法が常識の世界。人々は魔法を生活に取り入れ暮らしていた。
大国エルガル王国のはずれの丘に一軒の小さな薬屋があった。煙突からはもくもくとけむりが吹き出している。
「なんか現実飽きたな…」
そう呟やき適当に薬を調合する男コラム。
彼は毎日毎日風邪薬を作り続けることに嫌気が差し、憂さ晴らしに師匠がいない間に適当に薬を調合していた。
小さな鍋でぐつぐつと様々な薬草や棚から取り出した薬を適当にまぜている。
「まぁ、こんなもんか」
そう言って出来た不気味な紫色の薬を覗き込んだ。透き通ったきれいな紫色であるがどことなくまがまがしいものを感じる。不気味なほどきれいというのはこういうことを言うのか、とコラムは感心しながらつぶやく。
「なかなかキレイだな。せっかくだし保存しておきたいけど、いい感じの瓶はないかな」
辺りをキョロキョロと見回すと棚の上に綺麗な瓶があることに気付いた。中身は紫色の液体が入っている。
「こりゃ、いいものがあったな」
そう言ってコラムは棚の上にある綺麗な瓶を手にとってかるく振るとふたを開け匂いをかいだ。
「変なにおいだな。この瓶使いたいんだけど……しゃあねぇ、飲むか。」
コラムは中身の液体を飲み干した
そして吐いた。
「どあっ、マッズ!」
コラムは盛大に液体を吐き出すと口の中のなかを丁寧に洗い空になった瓶を見る。
瓶の底には元々入っていた薬がほんの少し残っている。しかし、コラムはそんな事は気にせず作った薬を瓶の中にいれて棚にもどした。
元々入っていた薬の色は紫なので中身を入れ替えても見た目上問題ない。
それから、5分もすればコラムはすっかり薬のことを忘れてぼんやりとしていた。
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