人間選び

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冥界の使者の内の一人、ルカ・トレヴィゾが人間を探す。 「人間などクズばかり。」 ルカは参加者を探しながら愚痴をはく。 力があれば心無し。 心あれば力無し。 心あれば勇気無し。 勇気あれば力あり。 3つの条件が揃う筈ない。 隣ではバイクがうるさい。 いわゆる暴走族か。 心無し。 近所の者はうるさいとばかり苦しむ。 「カスが。」 ルカは呟く。 その時、 「ブンブンうっせぇなぁ!!」 ある男が叫ぶ。 族のリーダーらしき人物が怒鳴る。 「何だぁ?!テメェ!!」 「うっせぇなぁ!!近所迷惑だろ?」 男は曇りのない眼差しを向ける。 「オラァ!」 族のリーダーはバイクを降りて殴りかかってきた。 「死ぬなよぉ。」 男はリーダーの顔面に一発拳を叩き込む。 相手は半回転して地に倒れた。 「俺は緒方拓海(おがたたくみ)だ。覚えとけ。」 この男は、力あり、勇気ある。心が分からん。 しばらく見守るか。 ルカにとって見応えのある人間だった。
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