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カランカランと、グラスの中の氷が崩れた。
結局また、いつものように茜の家でティータイムを楽しんでいる。
「優人知ってる?3組の牧田君、雅美に告白したんだって」
「へぇ、それで~‥」
俺は茜の母さんから出された麦茶を喉に流し込んだ。
「へぇ、って!優人、雅美のこと好きじゃなかったっけ!?」
「そんなこと言ったか俺?」
グラスを机に置き、椅子にうなだれたままの茜を見て俺は思わず吹っ切れた。
「なあ、俺ら今日で遅刻何回目だと思う?」
「うーん、30回くらい?」
「100回だ100回!分かるか!?1に0が2つついて100回だ!!」
「マジで!?私ら凄いじゃん!」
「いや、何喜んでんの?どんだけポジティブなんだよ!ギネスに載せたいよ、世界で一番‘馬鹿,ってな!」
俺は呆れたように鞄と脱いだブレザーを手で持ち、茜の家を出た。
朝の日差しを眩しく仰いだ。青や緑の靄が目にかかり、それが原因では無いが涙が溢れ出た。
「鈍感女め…」
そう呟きながらチャリを跨ぎ、そう言いつつも茜を待った。
しばらくすると、「何怒ってんのよー」と、茜がブスッとした表情をしながら家から出てきた。
「うるせー‥早く後ろ乗れよ」
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