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―探―
先輩の言葉、嫌いなもの、嫌がっていたもの、思い出してみる。
鏡、水、ガラス…姿の映るもの。
花…生きているのに動かない。
扉…向こうは本当に『在る』の?
ボクは先輩の言葉をすべて覚えている。
それだけ何度も聞いていたんだ。
どこを探すべきか…。
先輩の歩いた記憶を辿るのが一番だろう。
いつものファミレス、此処でいつも話していた。
いつもの本屋、アリスは見つからない。
あの駅はどうだろう…。
ボクは使った事無いけれど。
唯一ボクが知らない場所だ。
先輩はいつも、ボクがいない時にアリスにあっている。
一番、アリスの情報を持ってたのに、助けられなくてゴメンね先輩…。
先輩の…あの場所に立つと、目の前に建つビルの窓に姿が映る事に気付く。
きっとあの日、アリスはあの窓にいたんだ。
ボクは足下に転がる空き缶を思い切り投げ付けた。
カーン
情けない音を立て缶は落ちる。
今日は此処までにした。
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