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「この町に帰ってくるのも六年振りか。懐かしいな」
「うわあ、暴れん坊の山賊が出たぞ」
兼光が故郷を懐かしんでいると、近くの家が襲われ二人の山賊がこっちに向かって走り出してくる。
一人の男の手には、さっきの家から盗んだと思われる古い壺が大事そうに抱えられていた。
「金目当ての山賊だろうねえ。僕の故郷で悪さなんて許せませんね」
にっこり笑いながら、そう言うと腰を低く構えて抜刀の構えをとる。そして、二人の男が近づいてきた瞬間、素早く刀を抜くとなにも持っていない手ぶらの男を切り倒した。
もう一人の男は、なにが起こったか解らずにその場に俯せで倒れた仲間と兼光を、ただただ交互に見るしかなかった。
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