No.03 新歓

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  着いたのは4階の化学実験室の隣の何も書いていない部屋だった。 金属製の扉があるだけだ。 「ココ?」 「嗚呼」 「何も書いてないよ」 「でもビラは貼ってるだろ」 「この真っ白い紙?」 ソコには真っ白な紙がただ扉の真ん中に張り付けられていた。 「ならその紙触ってみなよ」 直樹と美冬は頭にハテナマークを浮かべながら紙に手を伸ばす。 「何か小さな凹凸があるわ」 「それは点字だよ」 「えっ!!でもこの紙には凹凸無いよ」 「ならその凹凸は扉のモノかな?木製の扉なら分かるけど、そりゃ金属製だぜ」 あっ!! とちいさな声を漏らす美冬。 「それは凹凸のある厚紙の上に薄いコピー用紙を重ねているのさ。それで……」 秋風は扉の前に立つと徐(おもむろ)に扉をノックした。 コンコンコン、コココン  
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