きせき の きせき

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姉が興味を無くして僕の隣へスルリと抜け出し反対側へ、そしてパタパタ駆けて行く足音すら聞こえない。ただ視線だけがこちらを向いている。背後に突き刺さる。だから姉は居る。分かる。 「今日はどこに行こうか?」 ワクワク気分で、テーブルに着いた様子の姉はバンバンとテーブルを叩く。行儀が悪い。朝は静かに過ごすのが僕の流儀だというのに。  姉さんはどこに行きたい? 沸いたお湯でインスタントコーヒーを溶く。無色無味透明の液体が真っ黒に染まった。姉のコーヒーは薄い黒から濃い茶色に変化して。 「私は買い物に行きたいなあ」 白い湯気がクルクル回って空に昇る。昇って上がって消えていく。黒からも白。茶色からも白。不思議な感覚。違った色が昇る。程よい薫りが立ち上がって、消えていく。  姉さんが行きたいなら行こうか 少し口に含んで、苦味に顔を歪める姉。シロップを少しコーヒーに入れてあげると、にっこり微笑んで、また少し口に含む。その姿が微笑ましい。  
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