きせき の きせき

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アレキサンダーの死を無駄にしたくなかったからか。頭の中にある書斎に仕舞われたままの埃を被った言葉事典を開いていく。  時は命なり。時は等しく皆平等に与えられている言わば命の歴史。時計は時を刻む訳じゃない。命を刻んでいる。時計の針は戻せても時間は戻せない。時は金なり。大夢は金なり(Time Is Money) 時に関係する言葉を並べ立てる。脳のしわに刻まれているだけの知識。アレキサンダーから教えて貰った知識。僕はこんなにもアレキサンダーに助けて貰ったのに、僕はアレキサンダーを助けてやれなかった。ごめんな。アレキサンダー。 「難しいよー弟くんー。頭回らないよー。処理落ちだよー。頭爆発しちゃうよー」  姉さんには、アレキサンダーの全てを知ってもらう必要があるんだ。それがアレキサンダーへの弔いってやつさ 「アレキサンダー? 大王?」 小首を傾げる姉に対して、これ以上の問答は独り言に他ならない。ましてや姉の時間も僕の時間も無駄に出来ない。僕らの時間は無限ではない。有限。それも上限有り。期限有りの暴利的な――  
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