金盞花

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両の親指で俺の目の下あたりを撫でているのがわかる。 まだ、その手つきは優しい気はする。 「やだァ?んなの俺が知ったもんじゃねェよ。俺が鬼ごっこでもかくれんぼでも勝っただろォ?ポチを見つけたし、ポチを捕まえた。ポチに似合う首輪もつけた。なァ、俺を見ろ。その()で見ろ。」 俺の拒否にぐりぐりと瞼をかるく押したあと 言葉を紡ぎながら、片手が首にかかる。 ふと、先程首を絞められたのを思い出し 無意識にぶるり、と体が震えた。 それでも俺は目をつぶり続けた。 鼓膜を揺らす、紅様の声や すこし狂気じみた言葉にも 別に、嫌な気持ちにはならなかった。 この人なら、見せても... なんて絆されかけていた時 見ろ、といいながら鼻を噛まれた。 「ぅっへッ!?」 「ヒヒッ、やっと見たァ。」 びっくりして目を開けてしまえば 自ずと紅様と目がばっちりと交差する。 もう閉じさせまいと紅様は瞼に親指をおきながら とても無邪気に、嬉しそうに笑った。 その瞳は先程までの無機質な白ではなく 綺麗な赤色をしていた。 瞳に映る自分より その赤に視界を奪われた。
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