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女性からの教育が終わると
かならず少年がかけよってくれた。
心の支えだった。
無邪気な少年が.....弟が、支えになってた。
なんでもない、と答えるといつも悲しそうな顔を見せてくれた。
女性からの教育をされた日は、
男性はいつもよりぼくに"優しく"してくれた。
でも決まって"ヤサシイ"日の後はいつもより苛烈な教育が待っていた。
家族のカタチはそれぞれで、
ツギハギだらけだったけど、でもボクはソレが家族してたとおもっていた。
だけれど、ある日
優しかった男性が階段から"誤って"落ちてしまって
"たまたま"下にいた女性を巻き込んで眠ってしまった時から。
ツギハギは解けて完全にバラバラになってしまった。
階段の上に"偶然"いた少年は不気味に笑みを浮かべて
大切だったその少年のその声で
「兄さんのせいだよ」
というその少年に
俺はまた、いつものように謝るしかできなかった。
ころころと、いつもと変わらない笑顔を浮かべ
階段をゆっくりと降りながら近づいてくる。
呼吸が浅くなる、鼓動が速くなる。
視界が暗くなっていく。
最後に見えた、その少年は真っ白な髪の毛を揺らして
優しく微笑んでいた。
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