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視界が明るくなると
目の前には、お爺さんがいて、
ぼくの頭をなでていた
その側には、少年が二人。
今までとは違い過ぎる生活に
うまくなじめなかった。
いままで知っていた教育も、優しさも
全く違うもので、なんだったら
それをお爺さんに強請ったら、酷く叱られた。
だから、今までの家族のカタチを否定された気がしたけど
でもそれはそれで、新しいカタチなんだ、と受け入れようとした。
だから、こんなボクに
おじいさんも、二人の少年も優しくしてくれていたと思う。
でも、その三人の周りからは
酷く疎まれていた。
罵詈雑言にだけは慣れていた。
でも、それで三人の評価が下がるのが
死にたくなるくらい申し訳なかった。
支えにしていた弟とは別々になってしまっていた。
でも、もし本当に一緒に居たら耐えられなかったかもしれない。
なにかの手違いで、また偶然が起こってしまったら?
それを考えない日はなかった。
そんな夜は、二人の少年が一緒に寝てくれた。
でも偶然は偶々起こるから、偶然なんだ。
お爺さんが、永い眠りについてしまった。
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