金盞花

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爛々と輝くその瞳が宝石のようだった。 瞳と瞳が近場で交差する。 紅様の長い髪が俺にもかかる。 するとその髪がカーテンのように 俺の視界を更に狭めてしまった。 長い髪が俺にかかっているおかげで 紅様の容姿の全貌が、赤裸々に俺の眼前に広がる。 名前通りの(あか)い瞳が、俺の双眸を捕えて離さない。 凹凸のない肌はまるで新雪のようで 俺にかかる金糸はキラキラとその新雪を光らせる。 「キレイ…」 自然と言葉が漏れた。 それにその瞳は弧を描き嬉しそうにする。 「ポチの目も、髪も俺は好きだぜェ」 そんな顔で言われたら 否定ができない 逃げられそうにないな、と思ったときに 急に紅様が離れた。 「俺の存在、そない無視されたら嫌やわぁ。いけず」 「六弥ちゃん………、うん、六弥ちゃんは六弥ちゃんだよ」 「てめぇ、ぶっこ「そない好かんよ」………ッチ」 って、俺の思考がやばいとこにいきそうだった!!!! 戻してくれてありがとう!!! 俺は見る側!そっちじゃない! 落ち着け自分!!! うぉおおおおおぉおおお...... なんか、恥ずかしいなぁあああああ!!! 「俺やって、その()がいっちゃん好きやざ」 「...うん、ありがとう」 別の意味で顔を手で覆っていた俺の頭を よしよし、と優しく撫でながらそう告げてくる六弥ちゃんは とてもやさしく微笑んでいて、胸が痛かった。 「色んな色が見るたびにキラキラして、万華鏡みたいやなぁっていっつも思ってた」 昔を思い出すようにそう言っては俺の顔を覗く。 俺の瞳はいわゆる、アースアイっていうものに近しい。 色んな色が混ざってできてる。 そんな俺の目を気持ち悪がって、母は俺を嫌ってたし この目のことで父ともよく喧嘩してたっけ。 火照っていた顔は冷静さを取り戻す。
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