~不気味~

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~不気味~

私の目にまず飛び込んできたのは、凄まじい数の本棚だった。 縦約2m、横約4m位の、本が隙間無くびっしりと納められた大きな本棚が、 ここから見えるだけでも100棹位はあるだろう。 左右の壁には吹き抜けの2階に続く階段があり、 そこにも視界を覆いつくす大量の本棚が見受けられる。 お屋敷の本棚の数、およそ500棹、本の数は1棹につき1000冊はあると思う。 図書館というよりも本の巣だ、その光景にただただ絶句するしかない・・・。 床は恐らく大理石で、天井は10mくらいか…、とにかく高い。 そこにはテレビでしか見たことの無いような巨大で煌びやかなシャンデリア。 だが、その明かりは弱々しく、辺りは本棚の影で薄暗いうえに、 冷房が効いているせいなのか、雰囲気のせいなのか、少し肌寒い。 埃も溜まってないし、灯りもわずかにだけど点いてはいる。 人がいる気配は無いけど…、空き家でない事は確かのようだ。 私はとりあえず、近くの本棚に目を向ける。 …推理小説だろうか、タイトルに“殺人事件”とつくものが多い…、 …違う、多いんじゃない、この本棚の全ての本に、“殺人事件”と書いてある。 不思議に思い、周りの本棚を見てみると、その全てに“殺人事件”の文字が…。 間違いない…、ここにある本は全部“殺人事件”の推理小説だ。 まだ見てはいないが、2階もおそらく同じ…、だと思う。
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