~カタギリナナコ~

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~カタギリナナコ~

6月7日、朝6時、携帯のアラームが、耳元で豪快に鳴り響く。 毎晩自分で置いてるんだけど、毎朝必ず後悔する…。 耳を擦りながら階段を下り、キッチンで2人分のお弁当を作る。 毎日やっていた事なのに、3ヶ月ぶりともなると流石に何だかだるい。 簡素なものになってしまったが…、まぁ父には我慢してもらおう。 お弁当が出来上がり、7時になってようやく父が起きてきた。 「あ…、お父さん、おはよう。」 父は、“ん~”と唸りながらソファーの上の新聞を手に取り、食卓に着く。 2人で朝食を済ませ、いつものように父が先に家を出た。 「…じゃあ、行ってくる、学校、遅れるなよ。」 「はいはい、いってらっしゃい。」 父を見送った後、私は自室に戻って制服に着替える。 考えてみれば、夏休みより長く休んでたから、この制服にも懐かしさを感じる。 着替え終わって部屋を出ようとした時、携帯が鳴った。 「…もしもし、友香里?」 「おはよう奈々子、久しぶり~!」 電話の相手は学校の友人…、“片桐奈々子”だった。 「“久しぶり~!!”じゃないでしょ!!何で連絡くらい寄越さないかなぁ!?」 「ごめんごめん、こっちも大変でさ…。」 「本当にもう…、今日から学校来るんでしょう?」 「うん、今準備してるとこだよ。」 「じゃあ、いつものトコで待ってるから、遅れたら弁当没収!!」 「はいはい…、じゃあまた後でね?」 …久しぶりに友人の声を聞いて、私はちょっと嬉しくなった。 奈々子は小学校からの付き合いで、私の1番の親友だ。 毎朝一緒に登校し、お昼休みに一緒にお弁当を食べ、必ず一緒に下校する。 「行ってきま~す。」 誰もいなくなった家に、私はそう言って奈々子との待ち合わせ場所に急ぐ。 「友香里~!!おはよ~!!」 遠くから奈々子の声が聞こえてきた…、何で奈々子の方が遅れるかな? 「ごめん友香里~!!待った?」 「いつもの事でしょ?さぁ、急ごう?」 いつもと変わらない朝、変わらない町並み、変わらない日常。 今日もいつもと何も変わらない、この時まではまだ、何も…。 了
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