~見慣れぬ屋敷~

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~見慣れぬ屋敷~

奈々子と一緒に下校し、朝の待ち合わせ場所で別れて一人、誰もいない家に着いた。 時間は16時…、暗くなるまではまだ時間がある。 私は久しぶりの地元を、少し歩いて回ることにした。 見慣れた町並みと風景に、なんだか感慨深くなる。 その時…、ふと見慣れない建物に目が留まった。 以前からあったのかもしれないが、今までこんな建物があったなんて気が付かなかった。 外観はまるでテレビで見るようなアメリカの富豪のお屋敷のようで、 高い煉瓦の壁で囲まれた広い庭と鉄の柵で出来た立派な門扉。 そばにあった小さな表札には“大神崎私立図書館”と書いてあった。 その広さはかなりのもので、今までどうして気が付かなかったのかと思う程。 まるで自分の存在を誇示し、見たもの全てを威圧させるような迫力がある。 「私立、図書館…?」 表札を見て、思わず私は呟いた。 図書館というくらいなら、入っても、いい…のかな? 鍵は掛かってなく、力強く押すとゆっくりと静かに、門は開いていった。 門の隙間から見えてはいたが、その庭もかなり立派なものだ。 屋敷の扉まで続く石床の通路、左右には綺麗に手入れされた人工芝。 まるで、この場所だけ日本から切り離されているような感じ。 鉄柵の門を越えると、さっきまでの威圧感はもう無くなり、 むしろ全てを受け入れる寛大さ、寛容さを感じさせる建物に見える。 その屋敷に見入っていると、突然強い風が吹き、私の髪を大きくなびかせた。
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