~見慣れぬ屋敷~

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その瞬間、我に返って腕時計を確認すると、4時30分を過ぎていた。 私は30分近くもこのお屋敷を眺めてたのか…、他人から見たら不審人物だな。 まだ、時間はある…、とりあえず、このお屋敷の中を見てみたい。 なぜそう思ったのかはわからないが、妙な使命感のようなものを感じる。 ただの好奇心かもしれないけど、今見なければ、明日には夢のように消えてしまうかも…。 だから今…、そうしなければならないような気がした。 …石床の通路を進み、お屋敷の扉の前までたどり着く。 インターホンは…、見当たらない。 そのお屋敷に相応しい、立派な扉をノックするが…、返事は無かった。 ただの民家だったら、誰かが出てきたとき何と言おうかと思ったが、 扉の上に再び“大神崎私立図書館”の文字が確認出来た。 大丈夫…、民家だったら“図書館だと思った”と言えばいいだけの話だ。 私は意を決し、お屋敷の扉をゆっくりと開けた…。 了
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