lost chap 01 ― 出逢いの日

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   彼の寄りかかる十メートルにもなる双関には巨大で荘厳な獅子の姿態があしらわれ、それに連なるように重厚感のある城壁が学園をぐるりと取り囲んでいた。そして城内の中央にはセントラル唯一無二の白帝城と評されるほどの、外装が雪の如く白いお城のような魔法魔術学園が聳えているのだ。 「人混みは嫌いだというのに……」  待てども待てども彼の待ち人は一向に姿を現さないらしく、鳶色(とびいろ)の瞳が嵌め込まれた少年の切れ長の目は苛立たし気に閉じられた。  良く見ると、彼の容姿はとても美しいものだった。それは城内に入ろうとする新入生の瞳を釘付けにするほどである。  腰下まで流れるように伸びる白銀の髪に、きりりと形の良い整った眉毛。服の上からでも解る、ほど良く付いた筋肉は男女隔てなく羨望の視線を一身に集めた。  そしてその彼の身体を包むのは黒を基調とし、外枠のラインやネクタイに澄んだ蒼色をあしらった制服である。腰元には装飾品と思われるベルトが斜めにかけられ、両腕にはレグルスの紋様がである獅子の入った腕章が着けられていた。
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