トワ・エ・モワ

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『サンタさんはいるよっ』 例えば本当に居たとして 『そんなもの来たら、すぐにバットで殴り殺してやるっ』 幼い俺は、そんなことばかり言ってたらしい。 だからこれは、その罰なのか。 大好きなあこに神様があげたのは、きらびやかなクリスマスプレゼントなんかじゃなく。 「……は?」 宣 告。 かける言葉なんて何も浮かばなくて、空気を噛む。 それよりも俺は、目の前のこの子が居なくなった時の、自分を想うだけで精一杯。 「てっぺいちゃんが…好き」 瞳に涙を溜めて笑える君は、なんて強くて… なんて弱いんだろう。 「私…今年はプレゼント…用意出来てない」 白い病室に優しいオレンジの光と、2人の影。 「いらない」 「…ハハ、ごめんね」 「…いいよ」 いつも俺のことばっかだったあこに、欲しいものを聞いてみたら。 「てっぺいちゃん」 て呟いた。 鼻を垂らしてた時から知ってるあこは、すっかり女の子だった。
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