30人が本棚に入れています
本棚に追加
『サンタさんはいるよっ』
例えば本当に居たとして
『そんなもの来たら、すぐにバットで殴り殺してやるっ』
幼い俺は、そんなことばかり言ってたらしい。
だからこれは、その罰なのか。
大好きなあこに神様があげたのは、きらびやかなクリスマスプレゼントなんかじゃなく。
「……は?」
宣 告。
かける言葉なんて何も浮かばなくて、空気を噛む。
それよりも俺は、目の前のこの子が居なくなった時の、自分を想うだけで精一杯。
「てっぺいちゃんが…好き」
瞳に涙を溜めて笑える君は、なんて強くて…
なんて弱いんだろう。
「私…今年はプレゼント…用意出来てない」
白い病室に優しいオレンジの光と、2人の影。
「いらない」
「…ハハ、ごめんね」
「…いいよ」
いつも俺のことばっかだったあこに、欲しいものを聞いてみたら。
「てっぺいちゃん」
て呟いた。
鼻を垂らしてた時から知ってるあこは、すっかり女の子だった。
最初のコメントを投稿しよう!