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また何度目かのあの季節…
俺たちがあいつをなくしたのは何年か前、確か中学三年の秋のことだった
あいつは当時幼かった俺たちに忘れられない痛みを残して死んでいった
そしてそれでもまだ尚、あいつは毎年のようにその面影を思い出させる
白瀬 陽頼(しらせ ひより)
男のくせに女みたいな珍しい名前で、やっぱり女みたいな性格で
俺にとって苦々しい存在だったあいつは、死んだっていうのにまだ俺の心の中を淀ませる
それは多分俺のもう一人の幼なじみにも同じことで
香坂 樹(こうさか いつき)
女なのに男勝りで、いつでも俺たちについてきて三人一緒に遊んでいた
それこそあいつが生きていたときは男三人組みたいなノリではしゃいで回ってた
あの頃に比べて髪もずいぶん伸びて、いつの間にか女らしくなった樹が振り向いて笑う
「金木犀。
また、陽頼の季節が来たね」
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