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「清城、お前、待ちやがれっ!」
一日のチャイムの終わりが鳴った。
担任教師の怒声が響く…と、同時に少年が一人、教室を飛び出していく。
「せんせーゴメン!今日は先約!」
「何が先約だ、馬鹿野郎」
少年は軽やかな身のこなしで追ってきた教師の腕をかいくぐる…ことは出来ず、
制服の襟首を掴まれあっさりと捕まってしまう。
「ちょ、待った!今日は…-っ痛え!!」
少年がもがきながら全てを言い終わる前に拳骨が少年の頭にヒットした。
「全く…お前は入学してから毎日毎日問題ばっかりおこしやがって!…ま、今日はこれで勘弁してやる」
教師は困ったような苦笑いを浮かべると、少年を解放し、どんっと背中を押した。
少年は一瞬呆気にとられるが、すぐに悪戯っぽい笑みを浮かべるとまた走り出す。
「ありがと、せんせー!」
そして一度だけ振り返り、教師に人なつこい笑みで手を振ると、瞬く間に廊下の先に消えていった。
「今日は、特別だからな!」
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