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「それで、カイ、何部から行く?」
廊下にずらりと張られた部活のポスター達を見ながら、樹が尋ねた。
「やっぱさ、モテそうなトコロだろ!」
「あんたねー…そんなんだから入部早々問題児扱いなんだよ?」
元気いっぱい答えたカイを、樹が呆れた目で見る。
カイが早くも問題児扱いされている一番の理由、それは入学初日に髪を染めて現れたことが発端だった。
教師に叱られたのは勿論だが、上級生にも目を付けられ、呼び出しまでくらうこととなったのだった。
そしてあろうことかカイは上級生の呼び出しに対して大立ち回りをしようとしたのだ。
結局その事件は…一年のカイが勝てる筈もなくボコボコにされて終わった訳だが。
因みに、中学生という、そんな「少し不良」なところに憧れる年齢であるが故に、一部女子からひっそりした人気が出ていたりもする。
「だってよー、そんなこと言ったら、陽頼!狡いじゃん!」
カイは樹の言葉に、陽頼の頭をびしっと指差し反論する。
陽頼の髪はカイの染めた茶髪よりも薄い、ミルクティーのような綺麗な色をしていた。
「僕のは地毛だよ」
クスクスと陽頼が笑う。陽頼の髪は、理由は不明だが先天的に薄い茶色をしていた。
そして端正な容姿と大人びた性格から、男女問わず人気を得ていた。
「てか、陽頼と比べたらカイ、あんたの下品」
「えぇっ!ひど!」
「まぁまぁ、二人とも。
それより部活、見に行くところだけでも決めようよ」
ふざけあう二人をニコニコしながらなだめて、陽頼はポスター達を指差した。
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