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「ふははははははは!」
静まり返った、針葉樹林の生い茂り、暗闇が広がっている森――別名『死界』――の、ポツンと佇んでいる一軒の家中で、一人の少女が狂ったように嗤い続けている。
彼女の傍らには、いかにも危険ですよ、と言わんばかりの液体が入った、ビーカーに試験管といった実験道具があり、家の中心にある、扉と彼女が座っている机の間の地面には、星形の魔法陣が描かれていた。
「これで、ボクの野望が――っ! ……あ。これじゃあ、腕が四本になるな……はぁ……」
薄ぼんやりとした、ランプによる光量しかないこの家で、机に座り、隈はひどく、頬はこけ、真っ赤な目を虚ろにした少女はいかにも怪しいが、それを補って余るほどの美貌は、少しも薄れていない。
少女は、“かなり”小柄な体躯に、全身を覆う黒の、フード付きローブを羽織っている姿は、死神とでも称するべきか。
「ふぁああ……疲れた……」
少女は肩に手をやってマッサージをして、椅子に魂が抜けるかのようにもたれ混み天井を仰いだ。すると、彼女の真っ直ぐな黒髪が重力にあらがうことをせず、椅子の背もたれを流れ落ちた。
よいしょ、という掛け声と共に立ち上がり、素足のペタペタという音を立てて歩き、入り口からみて右にある本棚に机の上に広がっている【破滅の書】【禁術一覧】などを、きちんと整理された本棚に差し込んでゆく。すべてしまい終えると、その隣にあるコーヒーメイカーに入っていたコーヒーをコップに注ぎ、一息ついた。
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