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「契約……?」
『はい。私と契約して共に絶対幸福を手に入れませんか?』
直接脳に話し掛けられるような錯覚を思わせる幼い少女の声。
分類的にはクール声に入るのだろう。
「その、絶対幸福って何……?」
『文字通り、絶対に幸福になれます。』
「いや、それって……」
『まぁ一つだけ願い事が叶う魔法……という解釈でOKですよ。』
少女は空腹を忘れ、無我夢中で問い掛ける。
「それって、死人を生き返らせる事もできるの!?」
『……はい。可能です。』
ここで契約の内容を整理をしよう。
一つ。この少女と契約する。
二つ。契約には幾つかの条件がある。
三つ。生き残れば……絶対幸福が得られる。
少女にとって、三つ目の条件以外はどうでもよかった。
「OK。契約してあげる。」
『あ、まだ条件をお教えしていませんが……』
「……一応教えて。」
『分かりました。』
どんな条件でも受け入れる覚悟はできている。
『私と貴女は一心同体。あ、正確に言えば二心同体ですね。』
「細かい事は気にしない!」
『……つまり、心は違えど体は同じ。私が死ねば貴女が死に、貴女が死ねば私が死にます。そして死は敗北を意味します。死ねば終わり。絶対幸福も糞もありません。残るは無のみ。』
死ねば何も残らないという意味だろうか。
『ですがご安心ください。私が死ぬ事はまず有り得ませんので。』
「……その自信は一体どこから?」
『内緒です。』
「…」
『要は負けなければいいのです。簡単でしょう?』
簡単…なのか?
『後、もう一つだけ。』
「何?」
『お風呂は私優先で。』
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