メデューサ

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ー穏やかな日々ー 9月に入り、朝や夜は涼しくなった。 店ではハロウィングッツが売られ、高校でも、10月31日に行われる文化祭で活気に満ちていた。 「湊、お前のクラスは何やんだ?」 バス停へと向かいながら直矢が聞いてきた。 「『ハロウィンカフェ』…まぁ…仮装喫茶店だな。」 と、直矢はニヤニヤしながら僕を見て 「『ハロウィンカフェ』?…お前仮装すんの?」 その行動で何が言いたいのか分かったが、口にした。 「…なんだよ」 「いや、美菜子と二人で“魔女”でも?」 ーやっぱりか ハァ…とため息をする。 僕と双子の妹、美菜子はとてもよく似ていて、同じ服装になると分からないらしい。 「そんなわけないでしょ。」 僕のとなりを歩いていた美菜子は即答する。 「そっかぁ…残念だな湊。女装したがってたのに。」 ー今なんて? 「…え?」 「ウソ…湊そんなキャラだったの!?」 美菜子がさける。 「ちょっちがっ…ー直矢っ!何ウソを…っ!」 「ぅおっ逃げろ逃げろーっ」 さっと走っていく。 「コラッ待て!!」 直矢が逃げたので走って追いかける。 「あー!二人とも待ってよぉー!」 僕と直矢に遅れて美菜子が追ってくる。だからなのか… こんな穏やかな日が当たり前だと思っていた。 『えー今月、15時頃 ビルの下で発見された男性の死体は、大学生の深端 柊(ミハジ シュウ)さんだと分かりました。なお、警察は現場から犯人が残したと思われるメッセージがあることから殺人として捜査を進めています。』 この身近な事件を知らせるアナウンサーの声に気づかなかった これから起こることを知らせる予兆をー…
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