1人が本棚に入れています
本棚に追加
~那覇市母子誘拐殺人事件~
[昭和41年8月上旬、沖縄県那覇市にて母子誘拐事件が発生した。
被害者は三沼あずみ(29)と息子の孝史(4)、幸弘(1)の3人。
正午ごろに、被害者の夫、見沼史郎(33)が帰宅した際、
自宅が何者かに荒らされており、家族の姿が見えないことから、
警察に通報して事件が発覚、警察の到着後に被害者宅に犯人から電話があった。
電話の内容は身代金1000万の要求。
尚、犯人はボイスチェンジャーのような物で声を変えていた。
身代金引渡しの際、警察の張り込みが犯人に勘付かれ引渡しは失敗。
一週間後、被害者の3人が遺体となって発見された。
死因は農薬系の毒物による中毒死で、目立った外傷は確認されていない。
遺体は被害者宅付近の山奥で発見された。
死後一週間以上が経過しており、犯人が3人を殺害した後、
遺体を隠したうえで、身代金を要求したものと見られている。
遺体発見現場付近には小さな小屋が建っており、
内部ではロープ、死因となった農薬、被害者達の毛髪が発見され、
警察はこの小屋が犯行現場であると断定した。
1ヵ月後、尾野武次(31)がこの事件の容疑者として浮上した。
容疑者は被害者の夫、三沼史郎と同じ会社に勤める同僚で、
複数の消費者金融から借金をしており、被害者達とも顔見知りであった事から、
事件の重要参考人として尾野を連行した。
だが翌日、尾野の友人である加来三雄(33)が尾野のアリバイを証明し、
さらに翌日、被害者の夫である見沼史郎が、
被害者が誘拐された日の、尾野のアリバイを証明する供述をしたため、
尾野は釈放されることとなった。
尚、尾野の友人である加来が共犯である可能性も調査したが、
犯行時、市内のパチンコ店の店員、鶴田治(21)が、加来の姿を確認していた。
加来はよく、このパチンコ店に出入りしており、
この日も、加来が開店時から閉店時までいたと鶴田が供述したため、
加来の犯人、共犯説は頓挫した。
なお、加来は無職で、住所も定まっておらず、
友人の家を転々としていると、複数の人間が供述している。
パチンコ店員の鶴田は、母親が入院中、父親は鶴田が幼少時に離婚。
現在は、入院費を稼ぐため、ガソリンスタンドでも、アルバイトをしている。
父親の名前と所在は、現在でも掴めていない。]
了
最初のコメントを投稿しよう!