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~父の職業~
文章1ページ毎に3、4ページ位、写真みたいなイラストが付いてるから、
内容自体はそんなに量は多くない…、というよりとても短い。
カバーが分厚いから多く見えたけど、1時間と掛からず読み終わった。
私は立ち上がり、件のいるカウンターの方へ向かい、設置されている椅子に座る。
「いかがでしたか、あの“作品”の答えは出ましたか。」
「まぁ一応は…、そこの缶コーヒーいくら?」
「どれも120円ですよ…、どれにしますか?」
「そのカフェ・オレ、一番甘いのをお願い。」
件からコーヒーを受け取り、お金を手渡す。
「もう、推理出来たのですか?流石ですね。」
件も、缶コーヒーを1本手に取り、迷い無く開けて口に運んだ。
「飲んでよかったの?備品でしょ?」
「…どうせ誰も来ませんから。」
まぁ、件が良いって言うならいいか…。
「では、貴女の推理と感想をお聞かせ願えますか?」
件は、飲みかけのコーヒー缶をカウンターの上に置き、私の隣の椅子に腰掛けた。
「感想、“低俗”。」
「ほう…、そう感じた理由は?」
「あの作品の作者の警察像が、ドラマの中の無能な警察像で染まってる感じが。
あそこまでヒント出て来たら、いくら何でも普通分かるでしょう?
あの作者は日本警察を馬鹿にしすぎ、これが私の感想。」
「では、貴女の“那覇市母子誘拐殺人事件”についての推理をお聞かせ下さい。」
「…件はあの本、読んだことあるの?」
「えぇ…、勿論、推理もしました。
正直、突拍子も無い推理だったと思いますがね…。」
推理力に自信が無いとは言ってたけど、あの程度も分からなかったの?
そう言い掛けて、間違ってたらすごく恥ずかしいから、やっぱりやめた。
私の推理が合ってるかどうか…、正否を聞いてからにしておこう。
「…友香里さん?」
「あぁ、私の推理でしょ…?分かってるって。」
あの作品を読みながら書いた、考察用のメモを開く。
ちなみに、図書館内でのみ使えるノートがあって、
持ち帰るのは駄目らしいけど、これに模写するのは許容範囲だそうだ。
私はメモに目を通し…、状況を頭の中で整理し…、結論へと繋げ導く。
了
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