~違和感~

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~違和感~

…いや、本当に冗談じゃない、洒落にもならない。 謎っていうのは、解いた時の達成感を得るために解くものでしょう? 勿論、それが難解な謎ほど、そして苦労して解いた謎ほど、 正解した時の達成感は、言葉にならないくらい心地良いものだろう。 “答えは無い”なんて言われた日には、そりゃもう…、察して欲しい。 「大神崎サン、アンタ、ソラァ詐欺ッテモンデッセ? 大体、ソッチノるーるニハ五月蝿イクセニ、 コッチニハ、チャントシタ説明モ無シッテ、ドウイウ了見デッカ?」 あの、ちょっと不気味な日本人形の様な顔で、じわじわと件を壁際に追い詰める。 流石の件も、みるみる顔が青ざめていく…。 マァ!!ソノツモリデヤッテルンデスガ、ネ!? 「ちょ…、友香里さん、落ち着いて下さい!!」 「落ち着けるかっての!!こっちは必死で考えたのに!! このモヤモヤした気分をどうしてくれるの!?」 「答えですか…、分かりました、正解が聞ければいいのですね?」 …意外な言葉が出てきて、我に返る。 「え?でも、件も正解は知らないんじゃなかったの?」 「…えぇ、私は存じません。 ですから確認を取ります、…あの本の、作者の方に。」 疲弊しきった私の頭が、何かの違和感を察知した。 「ただし、確認をとるのに時間が掛かります。 早ければ明後日、長くて1週間後くらいは掛かると思います。 もし、それでもよろしければ…。」 まただ…、また何か、妙な違和感が。 何かが引っかかるのに、私の頭がうまく稼動しない。 「それでどうですか、友香里さん?」 「…うん、まぁ、それでいいよ。」 気にはなるが、答えが得られるのなら何でもいいか…。 どうせ考えても、今のままではこの違和感の正体には辿り着けないだろうから。 「では、私はさっそく連絡を入れてみましょう。 友香里さん、貴女も今日は随分お疲れのご様子。 ご自宅でゆっくりお休みになられてはいかがですか?」 「…そうね、そうする、もう暗くなってきたみたいだし。」 私は件に別れを告げ、どこかスッキリとしない気分で、館を後にする。 了
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