Desire

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僕は目を開く。 すると、眩しさを覚えると同時に、自分の体が重力で重くなる感覚を感じた。 足の下に地面の感触がある。 座っていた椅子の存在がいつの間にか消えていて、気がつかないうちに自分の体の姿勢が直立して立っていることに驚く。 そうして眩しさに段々と慣れていくと、広大な森林が視界いっぱいに広がっていたことに気づいた。 自分の肉体は、いつの間にか小高い丘の上にいたようだ。 コンピューターによって造りだされた仮想世界の景色。 僕が息を深く吸い込むと、普段感じるのと同じ空気の匂いがした。 朝方の森の中にいるような、少しだけ湿った緑の匂いがするあの新鮮さだ。 森からそよいでくる風を肌で感じ、短く切った僕の髪の毛がさわさわと揺れているのも分かった。 仮想現実、と僕は何度も頭に浮かべなければいけなかった。 現実世界と何も変わらない圧倒的なリアル。 まるで本当に生身で仮想の世界に移動したかのような錯覚。 と、そんな感動を覚えながら、ゲームは開始された。 と言っても、今回のゲームでは特に目的はない。 集めなければいけないアイテムも、倒さなければいけない敵も、ゲームらしい課題は一切与えられていなかった。 今回のテストでは、仮想世界の中でじっさいに数時間過ごすだけらしい。 とりあえず、ゲームが開始されてすぐ、僕は一緒に参加した友達数人と合流することにした。 いつも一緒にいる一組で懸賞に応募したのだから、当然別室でゲーム機に座らされてこちらに来ているはずだったのだ。
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