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「暇ですねぇ」
こんな台詞が出るほど客足は少ない。
僕は今バイトの真っ最中、もとい、バイト先の先輩と雑談中。
「なぁ成瀬、なんか面白い話ねーの?」
「あったら言ってますよ。高橋さんこそ、何かないんですか?」
「あるにはあるけど。聞きたいか?」
高橋さんは目を輝かせながら言う。
「はい、お願いします」
僕は棒読みでそう答える。
「しょうがねーな」
高橋さんは嬉しそうにそう言い、ふぅと一息ついてから話し始めた。
「裏バイトって知ってるか?」
「えぇ。マグロ拾いとかサクラとかがそうですよね?」
「あぁ。こういうのは高収入である代わりに、リスクを伴う仕事が多い。でもな、リスクを負うことなく大金を貰える裏バイトがあるっていうんだよ」
「へぇ、それってどんな仕事なんですか?」
「“箱送り”っていうんだけどな」
高橋さんの声のトーンが下がった。
「箱送り?」
「あぁ。両手大の四角い箱を、指定の場所に運ぶだけの簡単な仕事だ。給料は1回15万」
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