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    綺麗な満月が厚い雲によって隠された夜 ただでさえ暗く 足元も見えない闇の中 山頂を目指して 獣道を登る人影があった。 ?「‥‥‥‥‥‥‥‥」 その人影に向かって 3匹の紫色の体毛の狼が左右後方から襲い掛かった。 だが ?「‥‥‥‥‥‥‥‥」 狼は全て 突如 虚空から現れた剣に身体を貫かれた後 ?「‥‥‥‥‥‥‥‥」 人影が指を動かすと同時 再び虚空から現れた剣によって真っ二つにされ 勢いのまま盛大に血と肝を撒き散らし土の肥やしとなった。 『‥‥もう少しで着くの?』 再び辺りが静かになると 誰かに喋りかけるように声が響いた。 人影のものではない。 まるで直接耳に聞こえるかのような不思議な声だった。 その声は鈴を転がすように軽やかな、声だった。 ?「そうだね。もうすぐかな~」 その声に返事をしたのは同じ声 しかし今度は人影のもの。 口調は別物だが。 ?『今度は当たりかな‥‥?』 ?「当人に聞けば分かるさ。 でも‥‥」 ?『でも?』
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