4人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「ど!…どうしたの?」
彼が動かないので、気を溜めて声をかけた。
気を溜めてじゃないと声をかけられない事実に、現状にまた……目の前が滲む。
「……おふろ、わいてるから…」
頑張ってだした言葉はそれだけだった。
私は手を洗って、手を拭くついでに顔も彼に悟られないように拭いた。
きっと、彼にはわかってしまわれてるだろうけど。
――――分かって貰えていたい
しかし、本音は押さえられない。
次々と溢れる涙を、タオルで顔を抑えてるしか、対処できなかった。
声は、出したくなかった。
――もう、全てがいやだ!
そう思った瞬間に、私は膝から崩れ落ちた――――
―――筈だった。
「ごめん……俺――」
聞こえて来たのは、彼の声だったと思う。
思うと言ったのは、私は膝が床につく前に、なにか暖かい物に包まれた感覚を、感じて……
その瞬間。
私の意識は、暗闇に落ちたから。
、
最初のコメントを投稿しよう!