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「ねぇ…」
「ほら!食えよ?」
真偽を聞こうとしたけど、彼は仕切りに料理を進めるだけ。
――やっぱり……
私の中である可能性が、どんどん大きくなっていった。
だけど…………それは信じたくはないもの。
私の頭はそれを考えていて、心は違うといっていた。
「ふぅ…なぁ…シャンパンでいい?」
ふいに彼がそう言った。
言い方に少しデジャブを感じた。
「……え?あ、うん。」
考えすぎて、返事が少し遅れてしまう。
――今更考えてもどうしようもないじゃない。もう、彼は決めたのよ。
私はそう自分に言い聞かせた――――傷付かないように。
「お待たせいたしました。」
シャンパンと色んな料理が運ばれてきた。
彼の顔をみれば、少し緊張した顔だった。
――そりゃそうか。
そう考えると、さらにまた気が沈む。
「あ、あのさぁ………ぅ…お…」
「お?」
――言いにくいのは嬉しいけど、溜められると……
そんな自分勝手な事を考えてると。
――――――パチンッ!――――――
誰かの指がなった。
その瞬間。
―――――光が、蝋燭だけになった。
驚いて思わずみれば、彼は真剣な顔で、なにかを吹っ切った顔で、手は指を鳴らした形のままで……私をみていた。まっすぐと。
蝋燭に照らされた彼の姿は、私にとってとても暖かく、頼もしく、いとしかった。
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