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私はただただ彼に見とれてた。見惚れてた。
だけど。
「最後に、ここに来たかったんだ。ここで終わらせたかったんだ。」
高揚してた気持ちも、彼を見ていた目もすべてが下にむかった。
彼の“最後の”という言葉で。
ついに言われると思った。
「ぃゃ……いや……いやぁぁあ!!」
気付けは、私は泣き叫んでた。
『彼と同棲が決まったとき、元カレのものはすべて要らなくなった。』
『あの指輪を外したのは、貴方に喜んでほしかったから。』
『私を幸せに導いてくれるのは貴方だと確信している私がいる』
どれもこれも、私の本心。
初めて彼に言った、私の心。
『私はぁ…!!』
「ごめん俺も、伝えことある」
泣き叫んで、もうなにをいってるのかわからなくなったとき、彼の香りに包まれ、不思議と体も心も耳も口も目もすべてがとまった。
「――――――。」
「は、い……ぅぅ…ば、か……」
続いて紡がれた言葉を私は忘れない。
涙を流しながらも彼に口移しされたシャンペンの味も、その中にあった金属も…
あの言葉は、わすれられない。
私は、涙ながらに同じ言葉を彼に言った。
「クリスマスプレゼントは、あなただけです。そして一生私だけのもの。」
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小さな可愛い女の子を見送り、きがぬけた声の主に振り替える。
「なんで笑ってんのよ?」
「いやぁ、流石親子。と思ってさ(笑)」
私だけ……私にとっては最高のクリスマスプレゼントは、そう言ってまた笑顔になった。
周囲に幸せだと訴えてるように。
fin.
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