わたしだけ?

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――――だけど。 クリスマスから結構経ったある日のこと。 「なあ。」 クリスマスのあの時と同じように聞こえて、全く違うその言葉。 「………なに?」 あの時と同じように突然だったその声に。 私は少し遅れて返事を返す。 「…………俺達、このままでいいのかな?」 あの時とちがう声は、私の心には雪を降らせた。 「…どう…いうい…み?」 あのときは寒い寒い冬だったのに、心は暖かかった。 声もハッキリでたのに。 ――――――だけど。 今はぬるく温かい春なのに、心は冷たい雪が降り積もっていた。 声もくぐもり、掠れた。 あの時とちがう私の声は、私の脳裏にデジャブを思い出させた。 ああ……これ、前にもあった、と。 『このままじゃ行けないよ。』 「やっぱり、このままじゃ行けないと思うんだ。」 『俺もお前も。』 「俺にとっても……お前にとっても。」 彼は私の動揺に気付いていないのか。 脳裏に浮かぶあの人の声と、目の前の彼の言葉がまざりあった。 ――――だけど。 私はあの時あの人の声をきくしかできなかった。 『別れよう。』 ――――だけど。 日々は繰り返されるけど、人はそれぞれだとわかった。 人は、みな成長しかわりゆくものだと気付く。 それを教えてくれたのは、あの人であり…… 「俺は、もっとお前と仲良くなりたい!!」 彼。 ――――だけど。 私の中にはあの人が今もちらつく。 それを彼は、きづいているのだろうか? 。
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