プレゼントのその後。

4/4

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
彼と同棲を始めて、一週間がたった。 また寒さがきつい季節になって。 彼があの靴下をはいてくれるようになった。 私が彼の足下を見ると、彼はにこりと笑う。 「この靴下さ、あと少しで捨てるかもね。」 何気なくいった。ぼそりと。 「えっ?」 私は思わず聞き返してしまった。 捨てる………それって……。 「ん?なんでもないよ」 「あ、うん…」 あの靴下を捨てるってことは、私たちはわかれるの? もう履いてくれないの? なんでそんなこと言うの? あなたから別れることなんてないって言うのは、嘘なの? ――私の中で言葉は積もっていく。 元彼と同じように? また私は、捨てられるの? 同棲までして? 「どうしたんだよ?」 彼が、いきなり動きを止めた私に声をかけ、手をかたに乗せてきた。 「な、なんでもない!!」 私は思わずその手を振り払い、出すつもりのなかった大きな声で彼を拒否した。 「は?」 あぁ驚いてる、呆れてる。 私も自分の行動に驚いていて、だけどあとに引き返せなくて。 「なんでもないっていってるでしょ!」 また大きな声で、彼にいった。 あぁ、もう―――私のばか。 彼は何がなんだか分かっていないみたい。 そうよね。 私にもわからないもの。 いえ、“わからなかった”になっちゃうのかしら? 彼の事をこんなにも好き“だった”事を――わからな“かった”わ。 .
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加