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と衝動に駆られて行動してみたはいいものの、思った以上に段数のあった石段を登り切った時にはヘトヘトである。
残暑の厳しい朝だからカッターシャツの下は汗だらけになり下着が肌に張り付くし、ハンカチやタオル類といった物を持っていない為に拭えず、自分の用意の無さをつい後悔してしまう。
仕方無く袖元辺りで額の汗を拭って、荒くなった息を整えてから顔を上げれば。苦行のような階段登りを終えた先、そこには廃墟のような社(やしろ)が1つ存在していた。
辺りを塀に囲まれて、その中で自然のままに任せて伸び放題な木々が生い茂っており、腰まである雑草と腐葉土の溜まり場が一面に広がっているのだ。
自分が通う高校の体育館はバスケをするなら4コート分取れるくらいに広いのだが、それと同等のような広さを持つ敷地内である。一軒家が余裕で4つは立ち並ぶような坪数はあろう。
そんな場所に、何年放置されたのか分からないくらいに廃り切っている木造の神社が建っていたのだ。敷地内が広ければそこにある建物も例外なく大きくて、普通の一軒家の一回りも二回りも巨大な建築物だ。
それでいて建物自体が腐り切り、蔓延(はびこ)る黴(かび)や苔は酷くていつ崩れ壊れてもおかしくない廃屋だ。三角屋根の外装には穴とかは無かったものの、雨漏りとか隙間風とか酷そうである。
立派な引き戸の入り口を開ければ中には入れそうだが、不気味という恐怖よりも先に崩壊の危険性を感じて入ろうとは絶対に思わない。
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