二軒目

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. 閉まりかけたドアに手をつっこみ、無理やりこじ開ける。 指が圧迫されて痛かったが、そんなの無視した。 いきなりのことで驚いたばあさんは、慌てて振り向き、目を見開いた。 驚きのあまり、腰を抜かしてその場に座り込む。 口がパクパクと何度も開閉を繰り返していて、思わず鼻で笑いたくなった。 「な、なな…な、なに、あんた…」 「同類にすんな」 「へ?」 尻餅をついたままあとずさるばあさんを見下ろして、精一杯にらむ。 ばあさんが、小さく悲鳴を上げた。 「あんたがどうして俺を嫌ってるかなんて知らねえし、知るつもりもねえ。 つーかどうでもいい。 けどな、咲があんたに対して気に食わねえ態度取ったくらいで、俺と同類にすんな。 こう…なんつーのかな、言葉じゃ言い表せねえけど…とにかく、ムカつくんだよ。 そこだけは、わりぃけど見逃せねえ」 言って、目をそらす。 あんな豚面、一秒だって拝みたくない。 「…だから、俺らがもうここに来ない代わりに、二度と咲を傷つけないって、約束してもらいたいんすよね」 横目でばあさんを見ると、彼女は、まるでそれしかできないかのように首を縦に振っていた。 その様子があかべこにそっくりで、俺は、笑いをこらえるのに必死だった。 「それじゃ、お邪魔しました」 小さく頭を下げ、ばあさんに背中を向ける。 「……なるほどなぁ」 地獄耳な自分を呪いたくなった。 「…そんな理由で、俺らは嫌われなきゃなんねえのかよ」 『犯罪者の息子のくせに』 ばあさんは、最後にそうつぶやいていた。 懲りないばあさんだ。 いちいち殴ってたらキリがないっての。
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