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「大丈夫か?」
俺が声をかけると、我慢しきれなくなったのか、咲が俺のマントをつかんで泣き出した。
顔が、涙と鼻水でグチャグチャになっている。
頭に置いた手で咲を撫でながら、ポケットからハンカチを出した。
「お…お兄、ちゃんは…せ、性格…っ悪く…ない、もん…」
「もういいから」
目を拭ってやりながら、俺は呟いた。
咲が、赤い目で俺を見上げる。
「兄ちゃんは気にしてないから、咲も気にするな」
少しだけ微笑んで、バスケットの中のクッキーを咲の前に出す。
「食うか?」
「…うん」
ジャック・オ・ランタンの形をしたクッキーを両手で受け取り、サクサクと音を立てながら頬張る咲。
多分、この中に入ってるクッキーは全部ばあさんの手作りだ。
菓子作りだけは上手いのにな、と思いながら、コウモリの形のクッキーを口に運んだ。
…やっぱり美味い。
ほどよい甘さが、俺の好みだ。
あれで性格よかったら、かなり好かれるばあさんなのに。
口の中でクッキーをモグモグさせながら、バスケットに手を入れる。
…あれ?
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